1.公認心理師という国家資格

過度な仕事で起きてしまう新型うつや介護疲れなど、社会が多様化するにつれて心の問題もより細分化されていっています。
ですからそこに寄り添うことができる専門家が必要だということで、平成29年9月に施行されたのが公認心理師という国家資格です。

これまでも心理職には臨床心理士という資格がありましたが、それはあくまでも民間の資格でありますし受験資格となるのは臨床心理士になるための大学院を修了することです。

ですから、大学のときには法学部や経済学部など全く別の学部に通ってもかまいません。
それに対して公認心理師は大学でも心理学についての講義を履修している事が必要で、その分専門的な知識を習得しておかなければいけません。

このように臨床心理士との違いを見ていくと、国家資格であるというという点は大きいです。
というのも心理職は世間的に医師などと比べると評価がそれほど高くはありません。
それが国家資格という箔がつくことで、患者などからの信頼が高まります。

2.具体的な資格内容について

では具体的に資格の内容について、どういったことが求められるのかというと、4つの仕事をすることになります。
その4つを順番に並べていくと、「心理査定(アセスメント)」「心理面接(カウンセリング)」「関係者への面接」「心の健康に関する教育・情報提供」ということになります。

このうち4つ目の仕事は臨床心理士にはないものですから、この資格の大きな存在意義ともいえます。

●心理査定(アセスメント)

それをひとつずつ解説していくと「心理査定(アセスメント)」とは悩みを抱えている人について、何が起きているのか、その理由などを調べて分析していくことです。

●心理面接(カウンセリング)

そして「心理面接(カウンセリング)」は抱えている問題を、どうやったら解決できるのかを専門的な知識をもとにアドバイスや指導を行い、必要であれば援助もしていきます。

参考サイト:札幌の公認心理師によるカウンセリング | トポス心理療法オフィスのご案内

●関係者の面接

「関係者の面接」は心の悩みというのは、当人だけでなくその周囲にいる家族や友人たちにも影響を与えることなので、その人達のために相談にのったり、援助を行うことをしていきます。

●心の健康に関する教育・情報提供

最後の「心の健康に関する教育・情報提供」は、心の健康を保つためにどんな運動が効果的か、食生活についての注意点など役立つ情報を教えてくれます。

3.公認心理師になる方法

そんな公認心理師になりたいと考えるとき、どうすれば目指せるのかというと大学と大学院で施行規則で定められた科目を履修したり、大学卒業後に施行規則で定められた施設で一定期間以上の実務経験を積むことで国家試験の受験資格を得ることが出来ます。

なお施設で実務経験を積んでいる人の場合には、現任者講習会も受けなければいけません。
原因者講習会というのは資格についての内容や精神医学についての知識などを30時間位かけて講習していきます。
この講習会を受けるためには、受講料として7万円(テキスト代別)がかかります。

試験は年に1回行われます。
試験を行う一般財団法人日本心理研修センターに、必要な書類が一式揃った「受験の手引き」を請求します。

そこに添付されている申込書類に必要事項を記入し、受験申込み受付期間中に郵送します。
すると受験票が交付されるので、あとは試験当日に希望した試験地にいくことになります。

試験地は全語句で7か所あり、その中から一つを選択します。
受験希望者が多かったり、選択していなかったりする場合には、センターが決定します。

受験をするにあたっては手数料として、28,700円の支払いをしなければいけません。
これにも払込の期限があるので注意が必要です。

4.試験内容と合格率について

試験の内容は心理学や資格保有者の職務など公認心理士が持っているべき知識や技能について、事例問題という形で出題されます。
全部で150問から200問くらいで4つか5つある選択肢から回答を選ぶマークシート方式です。
合格するためにはそのうち60%以上の正答率でなければいけません。

ちなみにまだ出来たばかりの資格ですが、その合格率は7割から8割くらいです。
しかし、これは試験を受験できる資格に、現役の心理職で叩いている人も含めているからで、2022年までの特例措置です。
その特例措置が終われば、合格率は下がると予測されています。

試験の結果は、後日受験申込書で記入した住所に郵送されます。
この試験に合格すると、正式に公認心理師になることができますが、そのために必要な作業として資格登録をすることになります。

合格発表がされたならば、合格証書と一緒に登録申請書類も送られてきます。
そこに記載された手引きを参考にして、必要事項を記入した上で提出をします。

センターで書類の内容を審査して問題がなければ登録手続きが行われます。
あとは登録証が交付されるので、郵送で受け取ります。

登録申請については期限というものはありませんが、就職・転職などを考えているのであればなるべく早めに申請をしたほうがいいです。
すべての手続を終えて公認心理師となれたとき、どこで働くのかというと大抵の場合は病院や会社、学校などで働くカウンセラーとしてです。

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