株式上場・IPOの支援に至るまでは、さまざまな準備が必要です。
簡単に上場だけして終わり、というわけにはいきません。

IPOできるまでの審査について

まずIPOできるまでの審査には、主幹事証券会社による審査や取引所による審査があります。
主幹事証券会社の審査は日本証券業協会が定める、有価証券の引き受け等に関する規則に基づいて行われます。
取引所による審査は、有価証券上場規定に定める実質審査基準に基づいて、上場適格性を満たしていると判断される審査です。
申請に先駆けて、主幹事証券会社は上場申請会社が上場企業として問題がないかを記載した推薦書を取引所に提出できることが前提になります。
推薦人となる主幹事証券会社は、申請会社がふさわしいかどうか調査するため、取引所への上場申請に先立って審査を実施することになります。
書面による質問やインタビュー、工場・店舗等事業所への審査・監査法人との面談、経営者・監査役との面談などを通じて実施されますが、審査期間は会社の規模や事業の複雑性によって異なり、半年程度が一般的です。
取引所による審査も、概ね主幹事証券会社による審査と同様に実施されます。
準備を進めるにあたっては、社内リソースのみで対応しきれない場面も出てくるため、作業の1部を切り出して日本クレアス税理士法人などの外部コンサルタントに委託して進めるケースもあり、複数の委託先が関与することもあります。

証券会社を有効活用して資産運用を

コーポレートガバナンスが有効に機能するような体制を整備する

IPOに向けては、支援の準備を進める段階で様々な問題が出てくるのが一般的です。
まず、経営戦略の策定方法や経営理念・目標、行動規範等の位置づけや定義は会社ごとに異なりますが、一貫していることが大切です。
投資家や証券アナリストなどに明確に説明できるように準備をしていく必要があります。
上場企業として経営の健全性を担保するため、コーポレートガバナンスが有効に機能するような体制を整備しなければいけません。
経営陣を監視・評価し、動機付けを行う仕組みをどう設けるかが課題となります。
株主総会は、会社の最高意思決定機関として極めて重要な役割を担います。
株主総会の運営は会社法に定められた手続きに準拠して実施されますが、準備は証券会社や証券代行をする企業などのアドバイスを受けつつ、入念な準備を行うことが必須です。
取締役会や取締役は、監督機関の実効性について厳格な審査が行われます。
個々の取締役の経歴はもちろん、報酬の妥当性や役員数の妥当性、退職役員が競業に関与していないかなどが考慮に入れられなければいけません。
次世代の役員候補が育成されているのかなども、見落としてはいけない課題です。
上場直前期には1人以上の常勤監査役を選任して、上場時には監査役の半数以上を社外監査役として監査役会を設置しなければいけません。

監査計画や監査調書なども整備する必要がある

また、監査役の監査の実施過程を文書化して、監査計画や監査調書なども整備する必要があります。
近年特に問題になりやすいコンプライアンスは、単に法令遵守のみを意味するわけではありません。
法律を守ることは当然で、コンプライアンス経営の重点はむしろ、企業経営上のリスクを回避するために守るべき社内管理規程等の整備を図るところから始まります。
それら社内ルールの適切な運用を行うため、高い企業倫理に基づいた判断を行うことを企業経営のあらゆる局面で適用される行動規範としなければいけません。
コンプライアンス経営で規定している遵守すべき規範は、法律や条例等の方規範は当然のこととし、社内管理規程等の社会規範、企業倫理等の社会的倫理的規範までも含まれることになります。
会議や社内報などでコンプライアンスの意義や重要性について繰り返しアナウンスをすることなどが、具体的な対応策として挙げられます。
また、経営理念の中の1項目とするなどの方式もよく見られる手法です。
IPOの審査をする時、企業グループの経営活動に関係する法規制や監督官庁等による行政指導の状況も確認されます。
さらに法令を遵守するための体制として、内部監査や監査役監査など、監査項目に経営活動の法規制項目が反映されているかについても、確認されることを忘れてはいけません。
そのため、経営活動に関係する法令について明確にし、改正があったときには適時に把握する体制を整えておく必要もあります。

まとめ

新規事業を始めようとするときには、事業面ばかりではなく当該事業を始めたときにどのような法規制があるのかなど、コンプライアンスの面からも検討をしなければいけません。
最近のIPO審査支援では、アフィリエイトプログラムで使用されるバナー広告の不当表示等の景品表示法や、シーティーシープラットフォーム型ビジネスなどでも、資金決済法の論点が注目されていて、関連する業種や業態では証券会社とも相談をして、早めに規制当局にも相談を行っておくと安心です。
支援を受けるために、IPOを行った後にインサイダー取引が行われないように、インサイダー情報管理体制を申請前までに整備しておくことも重要です。
情報管理規定の策定や、売買管理部署の設置・役職員向けの勉強会の開催等を行うことになります。

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