正規雇用と非正規雇用の社員の格差問題

働き方改革の一環として、正規雇用と非正規雇用の社員の格差が問題視されるようになりました。

有期雇用者や派遣社員、アルバイトやパート勤務の方が非正規に該当しますが、当初は働きやすい環境を得られることにメリットを感じることが多々あり、好んで仕事に就いているということも珍しいことではありません。

しかし、その後は非正規雇用の社員が増加していて、ある統計では全社会人の4割程度が非正規とされています。

会社にとっては扱いやすい環境を得ることができ、給料を安くして雇うことができ、尚且つ有期雇用や派遣雇用の場合は短期間で契約解除できるというメリットもあります。

働く側と会社側の双方にメリットがある働き方ではありますが、現状としては正社員として仕事を継続したい方が、いくら非正規雇用で頑張っても、それは給料に反映されないどころか、いつ切られてしまうのかという不安を抱えてしまう方が増加しています。

その結果、働き方改革にて同一労働同一賃金という考え方が認識されるようになり、2020年の春から施行されます。

各種手当も該当していて残業代の計算式も当てはまる

中小企業の場合では2021年からスタートすることになり、2019年現在ではまだ余裕があります。

この法律は同じ事業所で仕事をしている正規社員と非正規社員を比較した場合、同一の動労を行っていると認められた場合に限り、同一賃金にすべきという内容がメインです。

実際には賃金だけではなく、各種手当も該当していて残業代の計算式も当てはまります。

福利厚生も同一化することが必要なので非正規社員にとっては大きなメリットを感じることができます。

ここで問題になることはあり、仕事内容についての問題です。

正社員は総合職として営業から事務作業、倉庫作業を行っていることに対して、非正規社員は営業をすることが無いという仕事では例外になります。

正社員と非正規社員で全く同じ負担の仕事をしている場合に該当

どのような事例が該当するのかと言えば、製造業などで一日を工場内で勤務するような場合、正社員と非正規社員で全く同じ負担の仕事をしている場合は該当します。

工場だけではなく普通の会社内でも事務職で仕事をしている事例では、正社員と非正規社員で同一の仕事内容を行っている場合も当てはまります。

コールセンターなどでも社員、アルバイトの境界が無い仕事を行っていることも多く、全業種で言えることですが、製造業や卸し業、販売業やサービス業などでも有期雇用者やアルバイト・パート勤務者の方が正社員よりも活躍しているといった場面も決して珍しいことではありません。

肩書き上として正社員とされているだけで、高い給料を得ている方がいる一方で、それよりも多くの仕事をこなしている非正規雇用者は給料が低いといったことも目立ちます。

熱心に仕事をしている全ての非正規社員にとっては有利な法律

同一労働同一賃金の考え方では、このような差別や区別的なことを一切排除しようという内容なので、熱心に仕事をしている全ての非正規社員にとっては有利な法律です。

同じ仕事、それ以上の仕事をしていても、時給換算にすると著しく賃金が安かったり、年に2回の賞与の対象外になっている場合では働いていても将来設計を行うことができません。

法律が施行されるとこのような不具合を一気に解消することができるので、非正規社員にとっては仕事をする上でのモチベーションを高められるメリットも感じることができます。

頑張り次第では正社員に格上げされる可能性もあり、実力社会に持って行ける可能性、賃金アップが見込めるので貯蓄を殖やせる可能性も出てきます。

社会的な立ち場も変わる可能性があります。

これまでは非正規社員の場合は低く見られがちでしたが、施行後には正社員と変わらない環境で仕事をできるので、キャリア形成にも貢献できます。

勤務先の会社の人件費が増える

一方でデメリットに感じてしまうことも推測されています。

賃金を同一化することにより、勤務先の会社の人件費は当然ながら増えてしまいます。

その結果として立場に関係せずに全社員の給料が引き下げられてしまうという可能性はあります。

次に派遣社員などの募集数が減ってしまうという可能性も指摘されています。

新たに雇い入れてしまった際には、人件費が会社を圧迫されてしまうことや、そもそも契約社員という括りで雇うことにメリット感じない会社が増えることにより、募集が減ってしまう可能性は出ています。

メリットとデメリットを相殺した場合では、メリットの方が大きいと判断することもでき、仕事を真面目にやっていて、正社員と同じ業務をこなしている方であれば、同一労働同一賃金の法律は味方になることが一般的です。

既にこのシステムを導入していて成功をしている大企業も存在しています。

各企業においては施行後でも今のところは罰則がありません。

しかし、罰則が無いからといって同一労働同一賃金を破ってしまった際には、社会的に見ても良い企業とは判断されることは無くなってしまうので、結果的に優秀な人材確保をできない状態になることも想定できます。

ある程度の社員を抱えている企業の場合は、施行までに内容を十分に精査した上で2020年春までに改善計画を早めに立てることが最適です。

Comments are closed.